ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

コラム ~#31 › コラム #30~#1

column#11

続々・稽古内容について考える

従来のウェイト&息上げか、最先端トレーニングか?
フィジカル・トレーニングにかんして。

 バランスボールを使ったトレーニングに取り組む生徒がいるとする。
 なるほど、それは確かに効果のあるトレーニングなのだろう。
 ただ、そこで、ひとつ訊ねたいことがある。
「あなたは、週何日、何時間、どんな稽古メニューをこなしているなかで、そのメニューを組み込んでいるのか?」
 要は“やるべきこと”の優先順位の問題だ。
 主将の考えでは、そういったトレーニングに取り組むべきは、打撃・投げ・寝技のそれぞれのスキルトレーニング、ガンガンとウェイトを挙げる筋トレ、ヒーヒーいわされる全身持久力トレーニング・・・それらを十分にこなしたうえで、まだ余力がある人。あるいは、それらのスキル&フィジカルトレーニングを何年にも渡り磨き抜き、スキルやフィジカルに伸びがみられなくなっていたり、精神的に“飽き”を感じていたりする人。
 初心者だったり、週に1度や2度だけ稽古する人だったり、技術練習が楽しくてしょうがない時期の人だったりが、わざわざ取り組むほどのメニューではない。

 バーベルやマシンを用いたウェイトトレーニングと、たとえば“手押し車”のような補強運動。どちらが基礎体力かといえば、実は、ウェイトトーニングの方だ。
 基礎として、個々の筋肉が集中して活動できる機会を与え、個々の筋力をアップさせるのが先決であり、それがある程度達成されたうえで、不安定な足場でバランスを保ちながら筋力を発揮する、各筋肉をスムーズに連動させる、そのような複合的なメニューを行うべきなのだ。土台となる筋力がない状況で、ないものを連動させようとしても効果は薄い。
「ウェイトトレーニングでつくった筋肉は実戦では役に立たない」と思っている人もいるようだが、「筋力トレーニングに時間を割いた分、スキルトレーニングの時間を減らしてしまった場合には、せっかく養った筋力を機能的に使いこなすことが出来ない」だけの話。土台となる筋肉量・筋力を養ったうえで、補強運動やいわゆるファンクショナル・トレーニングに取り組むのが、合理的なのだ。
 だから、特別なフィジカルトレーニングは、あくまで筋力や筋持久力・全身持久力を鍛えてなお余裕がある場合にかぎって取り組むべきものなのだが、道具を使ったり、目新しいものだったりすると、ついそれが万能で、最先端で、それだけやっていればいいものなのだと勘違いしがちになる。最近、UFCトップファイターのフィジカル・トレーニングとして、3次元的な動きを盛り込んだメニューがテレビや雑誌で紹介されることが多いのも、その傾向に拍車を掛けているのかもしれないが・・・・。
 基本的には「技術練習の時間確保が最優先。次に基礎体力トレーニングの時間確保が優先。それらの時間が十分に確保できている場合のみ、特別なフィジカルトレーニングを行う」というプライオリティーが妥当。
 たとえば、主将もSAQトレーニングの指導資格者だったから、ラダーのような道具も持ってはいるけど、これをチーム練習で使ったことは一度もない。+260級でステップの動作の切り返しに改善の余地が大きい選手に、個別練習で処方したことがある程度だ。
 なぜなら、特に体の大きな選手でもない限り、競技で必要なステップの鋭さは、スキル練習を行うなかで一定レベルまでは養われるし、アジリティー&クイックネスを磨くためにわざわざ全員で時間を割くほど、チームのスキル練習が存分にできているとは思えなかったからだ。
 基本稽古や移動稽古といったスキル練習を怠りつつ「最先端トレーニングで体幹の固定力を高めています」と、スタビライゼーション・トレーニングに精を出すような人がいるのもおかしな話で、そもそも、ヘビーウェイトでスクワットなどを行えば、必然的に、ピラーをつくっているとき以上に、体幹を固める意識がはたらくのだ。
 先天的に速筋線維率が高い人だったり、エキセントリックな筋収縮の局面の多い競技(組み技格闘技など)歴が長い人だったりすると、スキル練習を積んでいるだけで筋肉量が十分になる場合もある。そのような個人差には配慮するべきだが、基本的には、最初に筋力・筋持久力・全身持久力のトレーニングありき。

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