ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

コラム ~#31 › コラム #30~#1

column#15

2012年階級別全日本所感

-230

 決勝、宮地vs平安孝行はキレイな攻防だった。二人とも左の蹴りの使い方が巧い! 勝敗を分けたのは、宮地の「蹴り足をキャッチされた後のバランスのキープ」と「首相撲のロック」だろう。平安のテイクダウンを封じ込め、スタミナを奪い切った。起死回生を狙った平安の寝技も良かった。
 渡辺慎二、古川雄一といった20年前から試合コートに立ち続けている選手の奮闘に嬉しくなった。尻を叩かれた思いもする。なかでも、もともと新空手の全日本王者で、その後、毎年のように北斗旗体力別に出場し、20年を掛けて“着衣総合”への対応を万全にした清水裕治には恐れ入る。幾多の大道塾有段者をなぎ倒してきたハイキックのキレも、衰えをみせていない。
 21歳の新鋭、谷井翔太がベスト4入りを果たす一方で、近田充、渡部和暁といった円熟期の30代が、やや積極性に欠ける感あり。

-240

 決勝でポイントを先取されつつ、後ろ回し蹴りで逆転するなんて、内田淳一がカッコよすぎる。キャラクターに合わないな…と思ったりして(笑)。

-250

 コノネンコと真っ向から打ち合い、先にポイントを奪った21歳、鈴木智大が光った。
 決勝。私自身が2週間前の稽古で、同じ技で七転八倒させられたばかりだったから、笹沢一有の前蹴り(三日月蹴り)が入った時点で「終わったか!」と思った。
 そのダメージを審判に気づかせなかったコノネンコは凄い!
 審判が早期に“気づきさえすれば”笹沢の一本勝ちだったはずだ。
 かつてコノネンコを沈めた酒井修のもとで蹴り技を磨いた笹沢。
 悔しいだろうな。
 もともとロングレンジの右ストレートの威力が抜群だし、結果はともかく、内容を振り返れば、パンチの打ち合いにおける距離・バランス等、素晴らしかった。もちろん、投げや寝技も一級品。笹沢には、十分に世界を獲れる力があると思う。

-260

 準優勝の平塚洋二郎は、前回世界選手権で-260級の切り札となるはずの存在だった。ところが病により3年半前からリタイアを余儀なくされ、今回、久々の復帰戦。平塚のいない間に-260級不動のエースとなった阿部和幸との決勝は、延長2回でも双方一歩も譲らぬ熱戦となった。両選手の次回世界選手権での活躍を期待したい。
 その他、目立ったのは、大日向貴之が連発した襟絞め。ロシア人攻略のために、絞め技は突破口になるように思う。

260+

 昨秋の全日本無差別を腰部の故障で欠場した加藤久輝。回復に時間の掛かる部位だけに心配したが、今大会での動きをみる限り、問題はなさそうだ。
 成長ぶりも明確。以前のような、掴むことだけに使うため右手を伸ばし切った構えでなく、バランスの取れた構え。左一本槍の攻撃でなく、右の攻撃で緩急をつけていた。最初の3試合だけで、効果9、有効1、技有り2、一本がひとつ。相手を2分近く意識喪失させ、救急車に乗せた。
 一方のキーナン・マイクも、左前蹴りや左ボディアッパーと右の攻撃を織り交ぜ、ボディワークで相手の攻撃をかわすなど、動きに柔らかさをみせた。掌底で相手をいなし、テンカオでカウンターを取っては、回転のよいパンチ連打を浴びせる。内股を堪えられたところで、谷落に連絡する……長足の進歩だ。
 そんな二人だが、決勝で対戦した際には、以前の固い動きに戻り気味だった。世界選手権のことを考えると、どんなパワーのある相手と対しようと、一定の動きが出来るようでなければならない。
 そのためには場数を重ねることが重要かと思うが、問題は、練習でも試合でも、彼らにそのようなプレッシャーを与えられる相手が少ないことだ。海外遠征を積む、大型選手のいる他競技の練習場に出稽古に行く…など工夫が必要だと思われる。

総評

 -230級優勝者は医師、-240級優勝者は元漫画家で現在は空道連盟勤務者、-250級準優勝者は大手企業営業マン、-260級優勝者は刑務官。社会においてさまざまな役割を果たす面々が、日曜日に集まって、共通のライフワークで技量を競う……理想とされる社会体育のかたちが実現されているように思った。

 -230級優勝者・宮地孟や、同級ベスト4・田中俊輔、-240級ベスト4我妻猛がベタ足で前へ前へとプレスを掛けるスタイル(いわゆるムエタイスタイル)、-230級準優勝・平安孝行や-250級準優勝・笹沢一有らはフットワークを取りながらステップイン&アウトを繰り返すスタイル(いわゆるボクシングスタイル)で巧みに闘う一方、-240級準優勝・堀越亮裕はスリ足で歩みながら低い位置からの“突き”を押し込むオリエンタルなスタイル。どれが一番強いとか、正しいとか、コレじゃなきゃいけないとか、答えはない。自由。それが“空=Freedom”道ということなのだろう。

 昨秋の無差別全日本の所感として「大道塾総本部の勝ち星が0だったことは、20年前を思えば信じがたい。職員が地区予選で敗退したことについては、東塾長としても忸怩たる思いだったろう」と書いたら、その予選敗退の職員、内田淳一が、今回-240級優勝を果たし、団体優勝も総本部だった。よかったなぁ~。

 近年のなかではレベルの高い大会だったと思うが、今回欠場した選手もたくさんいる。IOC傘下のワールドゲームス協会に承認され、社会的な競技になってきたこともあり、ワールドゲームスでのお披露目試合や世界選手権出場選手の選考大会となる今後の大会は、より熾烈な闘いとなるだろう。楽しみだ!

(以上、敬称略)

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