ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

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column#22

新……稽古内容について考える
ウォームアップ不要論

 人がスポーツに取り組むとき、たいてい、そのスポーツ競技本来の動作に取り組む前に、軽い運動やストレッチを行う。
 このウォームアップと呼ばれる行為として、何を行うべきか? あるいは、何を行わないべきか?

 以上が、ウォームアップのポイントとなるだろう。
 えっ? 筋肉を伸ばすことは?
 そう思う人もいるかもしれない。
 なぜか、ウォームアップ=ストレッチと思いこんでいる人は多いものだ。
 練習のはじめに、反動をつけず、じ~っと筋肉を伸ばした姿勢を数10秒間維持する、いわゆるスタティック・ストレッチに取り組む人をしばしば見かける。
 しかし、筋温を上げる作業に取り組まず、いきなり静的なストレッチに取り組むのは、現状のスポーツ界の一般論からすれば、合理的とはいえまい。
 体を温めてから、あるいは体を温める作業を並行して行いながらストレッチは取り組むべきものだし、そもそも、長時間(30秒以上)同じ箇所をストレッチさせる行為自体が、その後数時間のパフォーマンスを落とすともいわれている。関節可動域を広げておくこと自体はパフォーマンスアップにつながるが、筋肉を伸ばした状態を長時間続ければ、(一時的に)筋肉の発揮能力は衰えてしまうのだ。
 この点を踏まえて考えると

……といった原則が導き出される。
 80 年代以降「ストレッチは勢いをつけず、静止して行うべき」という流れが生まれ、ラジオ体操のような動作は、非科学的なもののように捉えられがちだったが、2000 年代以降は、むしろ「アップとしては動きながら行うストレッチの方が適している」という見解が主流なのだ。
 にもかかわらず、古い知識に囚われつつ海外のものは無条件に受け入れがちなものだから「サッカーの”ブラジル体操“は良しとするのに、大道塾の規定の準備運動は前近代的と思っている」人も多いのでは?

「ウォームアップは、身体に負担を掛けない軽度の動作でじょじょに筋温を上げつつ、関節可動域を広げる」のが妥当なのだとすれば「わざわざ競技と異なる動作でウォームアップをする必要はないのではないか? 競技動作を身体に負担を掛けない軽度の動作で行って、じょじょに筋温を上げていけば、自然と競技に必要な可動域の関節動作も得られ、準備は整う」という論理も導き出せる。
 つまり、いきなり激しい動きをするのでなく、最初の10 分なり20 分なりを“緩い動作”で取り組みさえすれば、いきなり競技そのものの動作に取り組んでも、問題はないのではないか? ということ。極論でいえば「いきなりマススパーに取り組んでもOK」となる。
 主将の考えでは「キチンと自制心を持って、激しい動きをせずに取り組めるのであれば、遅刻して稽古に参加する人は、時間を無駄にしないためにも、ストレッチやジョギングなどをせず、いきなりミット打ちやマススパーに参加してもOK」「定時に揃ったメンバーが行うアップは“差し”やドリル練習など、爆発的な動作を伴わない、かつ競技動作に則したメニューが妥当」「ジャンプ→着地動作を伴うマット運動や縄跳びなどは、程度は軽くともプライオメトリックな動作なので、アップには適していない」「メンバーの緊張をほぐし、コミュニケーションをはかるために、メンバー合同のアップにおいては、競技とは異なるゲームやフィジカルトレーニングをしながら身体を温めていくことは有効」といったところ。
 最悪なのが、ウォームアップとするものが、競技動作と異なり、かつ体力を消費するもので、実際に競技動作の練習に入る前に心身が疲れてしまっているようなケースだ。仕事柄、いろんなスポーツの現場をみていると「ウォームアップを競技動作とまったく異なるハードな動きで30 分行って5 分休憩を挟んで本練習に入る」というような場面に出合う。これでは、スキル練習に入る前に心身が疲れてしまうし、5分も休めば、せっかく上げた心拍数も下がってしまう。なんのためのウォームアップなのか、さっぱり分からない。

極真空手の準備運動を踏襲したものであり、元を辿れば自彊術等をベースにしているものと思われる

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