ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

コラム ~#31 › コラム #30~#1

column#26

空道ルールへの提言2

 社会・世界に広めるためには、試合ルールを、より「安全」「シンプルで分かりやすい」「実戦に則した」ものにすべきかと思われる。そのために以下、空道ルール改定を提案する。

1.金的蹴りは、国際ルール=階級別大会では、全面禁止する。

スポーツ界の世界水準の安全管理イメージに合わせるため。また「身体指数差が20 以上ある場合は金的蹴りOK、30 以上ある場合は手技による金的攻撃もOK」としつつ、その一方で「身体指数差が20 以上ある場合は掴んでの手技による攻撃は禁止、30 以上ある場合は蹴撃も禁止」というルールはあまりに複雑すぎるから。このルールはつまり「身体指数差が30 以上ある場合は、相手と組んでいない状態では、金的蹴り・金的への手技攻撃がOK となる一方、組んだら、金的への攻撃も含めあらゆる打撃は禁止となる」ということだが、試合中、選手は考えながら闘うのでなく、条件反射的に体を動かすので、このような複雑なルール変化に対応できるはずもない。観る側にとっても、あまりに分かりづらいし、「身体指数差が大きくなると、相手と組んでいない状態では、通常より過激なルールとなり、一方で、組んだ状態では、通常より安全に配慮したルールになるのは、どういう道理なのか?」という疑問を残す。ただし、国際ルールでなく、日本固有のローカルルールとして、全日本無差別大会でのみ、現行ルールを認めるのはアリかと。かつてIJF ルールとは異なったルールを採用していた柔道全日本選手権と同様、権威が高まる。

2.立ち技掴み状態での打撃の可否は、国際ルール=階級別大会では、体力指数差によって条件を変えない(パンチ・ヒジ・ヒザ・蹴り・頭突きすべてOKで統一する)。

第一に、理解しづらいため。客にとって分かりづらいうえに、選手にとっても、対応が困難。組んだ状態から打撃を放つ、空道ならではの技術を磨いていればいるほど、反射的に身体が動き、反則を犯しがちになる。また「組んだら一切の打撃は禁止」というルール下では、柔道のエキスパートと、打撃主体の選手が対戦した場合、打撃主体の選手は、道着も持たれたら、もはやなす術がないといっても過言ではない。

3.副主審制は廃止する。

旗判定による勝敗決定の基準が理解しづらいため。また、現状、本戦では、副審3 名がどちらに旗を挙げようと、副主審が引き分けの旗を出せば、高い確率で引き分けとなっており、本戦判定における副審3 名の判断の価値が薄く感じられる。「本戦は副審4 名の旗が割れたら自動的に延長、延長戦は副審4 名・主審1 名の多数決」といった基準でよいのでは?)

2012 年7 月12 日に大道塾HP に掲載された東塾長のインタビューに塾長のコメントとして…

(IWGA 会長から指摘を受けた)もうひとつはジャッジにおいて主審が2 ポイント(副審は1 ポイント)をもつことについて「あれでは初めから主審が贔屓出来るのでは」という疑問でした。
しかしこれも北斗旗(全日本大会)の初期のころからのルールの変遷を知っている人には、逆に「審判の贔屓を極力なくすための対応である」ことがお分かりになるはずです。
経緯についてお話しすると、早くに統一団体ができた柔道や剣道などと違い、特に打撃系武道(当時は空手でした)は多くの団体が出場するので、初めの頃はどうしても自分の団体に有利な判定を出したり、そこまでしなくても何度も引き分けを出してしまい試合時間が大幅に伸びたりという傾向がありました。
そこでいかにして徒(いたずら)な延長を避け、またより公平なジャッジをするかという観点から、私たちは主審と副主審以外はどんな微妙な差でも必ずどちらかに判定を出し「引き分け」にはできないとしました。しかしその場合、旗の本数では3 対1 になりますが、ハッキリした差での3 対1 と、五分に近いが3 対1 になる場合が出てきます。
後者のように『延長戦』でハッキリさせた方が良い場合には、主審が2 点使うことで「最高で『引き分け』にまで出来る」という現在のルールを作り上げてきたわけです。決して判定を逆転させることはできません。

…とあるが、
→なぜ、主審と副主審が2 ポイントをもつことが「徒(いたずら)な延長を避け、またより公平なジャッジ」となるのか、論理的な説明となっていないのでは? 「大道塾所属選手vs大道塾外の選手の試合で、副審3 名が劣勢だった大道塾の選手に贔屓して旗を挙げても、副主審・主審が、延長に持ち込める」という論理であれば「副審3 名が公平な判断をして、優勢だった大道塾外の選手に旗を挙げても、副主審・主審が、延長に持ち込める」という論理も成り立つのでは?
 副審が3-0であろうと2-1であろうと主審と副主審の判断で引き分けにできる制度こそが「副審の判断と一切関係なく、メインジャッジ2 名が恣意的に引き分けにすることができる、徒に延長戦を増やしやすい制度」ともとらえられる。
「審判は全員同時にどちらかの選手の旗を挙げ(副審の旗の色をみてから、副主審が自分の旗を出し、さらに、その後に主審が自らの判断をすることこそが、恣意性を感じさせるから)、本戦であれば、全員が一方の選手の勝利を支持しないかぎり延長、延長では一本でも旗の多い方が勝利」といったルールの方が、シンプル・明確で、恣意性を疑われないのでは?
 柔道にしろ、剣道にしろ、旗判定のある競技は、主審1 名と副審2 名の同時旗揚げである(柔道は、以前は副審2 名の旗が割れた場合のみ、主審が最終判断を出していたが、現IJF ルールは同時旗揚げ)。

 そもそも「武道性と大衆性という背反するものの間でバランスを取るために、どういう基準でルールを定めるか」という方針をはっきり定めるべきであり、グローバル・スタンダードに合わせた競技普及を望むのであれば、その基調方針は「安全性と実戦性と分かり易さの追求を原則とするが、それぞれが相容れない事象では、安全性と分かり易さを維持するために、実戦性を譲歩させる」であるべきでは?

4.グラウンド打撃で効果が与えられるポジションを「マウント」「バックマウント」「ニーインベリー」に限定せず「マウント、バックマウント、ニーインベリーをはじめとする、明確に相手を制したポジションからの、的確かつ強い疑似打撃に、効果を与える」とする。

 現状のルールでは、明らかに現実的には有効な攻撃がポイントにならない(たとえば、総合格闘技でいうところの「マットヒューズポジション」からの打撃など)。一方で、マウントやニーインを取った選手が腰の入っていないパンチ連打を行うことに効果が与えられているので、現実と乖離している。むろん、グラウンド状態にある相手に対する、立位(両足の裏以外はマットに着いていない状態)からの疑似打撃にも、効果を与える(現状のルールでも立位からの疑似打撃に効果は与えられることになっているが、認識が薄く、選手の多くは「投げたあとに疑似打撃のポイントを奪うためには、必ずニーインベリーか、マウントを取らねばならない」と思っている)。

5.立ち技の打撃における「効果」の認定にかんしては「自らの打撃を当て、相手の攻撃をもらっていない」場合を基準とする。

つまり「強い攻撃を的確にヒットさせた後、安全なポジションに移行した」場合は「効果」に値するが「強いフックを食らわせたが、ノーガードだったゆえ、相手にも打ち返された」というような場合は「相殺」の概念を適応し、たとえ先に攻撃を与えていようと「効果」とはしない。むろん、打たれてから打ち返した方にも「効果」は与えない。以上の基準に照らし合わせたうえで、立ち技での打撃のクリーンヒットに対し3 名以上の副審の旗を挙げるタイミングが、ほぼ同時であった場合(1秒程度以内=他の審判が旗を挙げるのに影響を受けて判断したのではないと考えられる時間内)のみ「効果」を与える。アマチュアボクシングでは機械によって「同じタイミングでジャッジがポイントボタンを押した場合のみポイントが入る」し、剣道でも副審の旗が揚がるのが同時だった場合のみ「一本」とみなす。それらと同様にする。一人の副審が、ある技に対し「効果」とみなす旗を挙げた後、2~3 秒も経ってから他の副審が旗を挙げないよう努める。副審は、主審が「効果」と認めなければ、旗を挙げ続けずに自主的に旗を戻す。ただし、その打撃によってダメージのみられる場合や、一方的な加撃が続いている場合や、グラウンド状態の相手に対する疑似打撃の場合は旗を挙げ続け、副審の挙げる旗の数が計3 本を超えた時点で主審が「効果」や「有効」と認める。

6.ポイント累積制(効果1 ポイント、有効4 ポイント、技あり8 ポイント、一本16ポイント…といった具合)を導入する。

2012 年7 月12 日に大道塾HP に掲載された東塾長のインタビューに塾長のコメントとして…

(IWGA)会長からは点数(ポイント)制にしてはどうかという提案をいただきました。
しかしポイントによる判定システムについては、私たちは空道の提唱以前にパンクレーション(※2)のなかで試しています。
ポイント制は結果が数字で表されるので分かりやすいことは事実ですが、護身術の基本であり武道(スポーツ)の起源である「体力差があっても戦う」という考えには合わないと思いました。というのも、ポイント制は軽いポイントを重ねていった方が勝つチャンスが多くなるので、例えば同じ5 ポイントでも効果を重ねてとった5 ポイントとKO 寸¥前の技有りが含まれる5 ポイントの結果が同じでは「より効果的な攻撃を加える」事がおざなりになる可能性があるからです。

…とあるが、

→「おざなり」とならないだけの大きなポイントを「技あり」「一本」に該当する攻撃に与えればいいだけの話ではないか。たとえば「効果が1 ポイントで有効が2 ポイントでは、大きなダメージを与えようという戦略を取らなくなる」というのであれば「効果1 ポイントに対し、有効は4 ポイント、技ありは8 ポイント、一本は16 ポイント」にすればよいだけでは? これくらい、「ダメージを与えた技」に重きを置いていれば、選手の取る戦略は、これまでと変わらないのではないか?
 3 でも述べた通りルール設定の基調方針は「安全性と実戦性と分かり易さの3つの追求を原則とするが、それぞれが相容れない事象では、安全性と分かり易さを維持するために、実戦性を譲歩させる」であるべきかと思う。

 そういった方針に従えば、延長戦では、ゴールデンスコア制(有効1=4 ポイント先取で試合終了)を採用するのも、緊張感(スリルと書くと「観る側のためのショースポーツじゃないんだ」とアレルギー反応を起こされるだろうが)が高まり、よいかと。

column#27へ  このページのトップへ  column#25へ

Copyright© 2014 一般社団法人 全日本空道連盟 大道塾 御茶ノ水支部 All Rights Reserved.