ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

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column#47

2013年無差別全日本所感

 個人的なMVPは、史上最高齢51歳での出場を果たした渡辺慎二。予選でも早大の選手がノックアウトされ、今回の全日本の1回戦でも、早大の選手が完敗した。早大のコーチとして悔しいのかといえば、正直言って、むしろ嬉しい。たとえば街中で、50歳過ぎの人がそこらにいる無礼な若者を一喝するだけでも立派だと思うが、彼が打ち破ったのは、バリバリに激しいトレーニングを積んでいる22~23歳のアスリートたちである。ひらりひらりと舞うような円熟の動きで相手を惑わせ、力に頼らぬ技を刺す姿は、一般の人が思い描く"武道・武術の達人"そのものではないか。もはや老師(ラオシー)。
 しかも彼は、若かった80年代、全日本レベルでは活躍できなかった選手なのだ。40歳、50歳と年を重ねるのと比例して、実績を伸ばしているのだから、恐れ入る。
「みろよ!  技を磨くことを続ければ、あんな風になれるんだぞ」
 学生たちには、技を磨くことの素晴らしさを、この競技の面白さを、年輩者が敬意をもつべき存在であることを、説くことができる。
「男だったら、死ぬまで強さを追求しましょうよ」
 シニアクラスのみなさんにも、希望を与えられる。
  最近、若い頃と同様にルックスの追求を怠らず"奇跡の××歳"などとマスコミに騒ぎ立てられる中高年の女性たちがいるが、男どもはどうだ? 若い頃と同じものを求め続けているか? すっかり諦め、枯れ果ててはいないか。
  渡辺慎二をみよ!(+家族のためにも無理は禁物ね)…と言いたい。

  以下、つれづれなるままに、箇条書きにて。

・個人的に面白かった試合は、2回戦・渡部秀一vs杉浦宗憲。二人とも、体育会系ぽい感じがしない風貌。武道家っていうより芸術家っていう雰囲気なんだよな。で、双方、打撃も組み技も巧い。案の定、打撃・投げ・寝技がぐるぐる回る攻防で、渡部がヒザ十字でフィニッシュ。空道を体現していた。

・優勝した加藤久輝と対戦した4名…中村知大、目黒雄太、キーナン・マイク、加藤和徳、Kim Whi Gyu…は、いずれも加藤の技の破壊力にたじろぐことなく、見せ場をつくった。彼らのメンタルの強さに、世界選手権に向けて"頼もしいな"と思った。

・一方で、日本国籍を有しているわけでもなく、日本在住外国人でもないKimが全日本大会に出場していることにかんしては、疑問を感じた。セミー・シュルトが全日本を連覇した際「全日本大会とは、本来、日本人選手のなかで誰が強いのかを比べる大会なのに、こうやって海外の選手がトーナメントを勝ち上がってしまうと、国内のそれが測れない」という観点から「今後、全日本の出場資格は日本国籍を有する者か、日本在住の外国人」と定めたのではなかったか。「外国人のうち、上位に来るような選手はダメだけど、そんなに強くなければOK」というサジ加減で出場させるのでは、国際的な認知を目指す競技としては、ずさんではないか。

・U16、U19クラスの選手の技量の高さがハンパない。清水亮汰のサイドステップからのミドルやハイ、今野杏夏の重そうな右ストレート、大倉萌の道着を掴んでの打撃→投げ……。彼らが一般クラスに上がってきたら、一気にトップ戦線に絡んでくるに違いない。世界大会が終わったら、翌年からは世代交代が日本のテーマとなるだろう。そのとき古い世代には、20歳、25歳歳下の連中に簡単には勝たせず、試練や涙を与えて欲しい。

・世界選手権日本代表枠は、-230は、今大会で活躍した中村・谷井・目黒・近田・草薙に加え、今回出場しなかった平安・末広・宮地・川上…。-240は、今大会で活躍した田中俊輔・内田・吉浜に加え、今回出場しなかった田中洋輔・堀越・服部・巻・榎並…。-250は、今大会出場した勝・魚津・深沢に加え、今回出場しなかった笹沢、我妻、コノネンコ…。体力指数250以上では、今大会出場した杉浦・渡部・佐々木・山田・加藤和徳・伊藤新太・平田・加藤久輝・キーナンに加え、今回出場しなかった平塚・阿部・稲田…。このあたりのメンバーで、春の最終選考大会を争うことになるか。しかし、前回世界選手権でファイナリストとなった中村知大は、実は、最終選考大会となった09年春の全日本まで入賞歴ゼロのまま、補欠の補欠くらいのかたちで代表合宿に参加し、ギリギリで補欠に選ばれて、あの成果を収めたのである。まだまだ、想定外の選手が一発逆転を果たす可能性は十分にあるのだろう。

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