ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

コラム ~#31 › コラム #30~#1

column#57

空道ルールへの提言 7

1.絞め・関節技を極められかけている選手が反則行為を行った場合、ブレイクを要するレベルであれば、一発失格が妥当

 現行のルールにおいて、極めて悪質もしくは危険な反則(頸椎に重篤なダメージを与える投げなど)に対して〝一発失格〟を与えることになっているが、一発失格にすべき状況として「寝技において関節技・絞め技が極まりかけの状態となったとき、極められかけている選手が反則行為(加重力方向への直接打撃など)を行い、それにより主審が"待て"を掛け、試合を中断し、極まりかけであった技を解除した場合」は、あるべきかと。この規定が明文化されていない場合、「極められかけたら、とりあえず故意に反則すれば、いったんブレイクが掛かって"反則1"をもらう程度で済む」ことになってしまう。

 このような戦略を防ぐため、サッカーなどでは、ファウル(反則)が起きた時、ファウルされた側が有利な状況(ボールを保持し、攻めの体制になっている等)の場合、主審は 「アドバンテージ!」と叫び、攻防を続けさせる。

 しかし、これは球技だからできることであって、空道において関節技・絞め技を極めかけているからといって、その選手がガンガン反則パンチで殴られている状況で、そのまま試合続行するわけにはいくまい。従って、そのような状況では、ブレイクを掛け、かつ失格を宣告するのが妥当と思われる。

 なお、同様に、不利な状況において、試合を中断せざるを得ない要因(マスクが脱げる・自らの動作によるケガ…など)をつくりだした側の選手には、それが故意であったかどうかにかかわらず、試合中断前の状況の不利さの度合いに応じて反則1~3~失格が与えられるのが、競技として公平かと思う。つまり、腕十字の極められ際にマスクが外れ、マスクが外れた状況で試合続行は出来ないがゆえにブレイクが掛けざるを得なかった場合、"見込み一本"的な裁定を下すもやむなしという論理だ。

2.最近の地区大会・開会式において、選手に対し「場外逃避は反則とみなされる」といった説明がアナウンスなされたが、現状のルールでいえば、正しくは「立ち技の打撃攻防を避けるために逃げ続けて場外に出るのは反則だけど、寝技の攻防で場外に出てブレイクに持ち込むのは反則ではない」である(別項目で論じた通り、私は、このルール自体もおかしいと思っているが)。そうであるならば、そこまで正確にアナウンスするべきではないか。「場外逃避は反則とみなされる」というアナウンスを聞いて誤解釈した選手は、寝技の攻防で相手が場外に逃げた場合、反則のコールがないことに憤るのも当然である。

3.2013年の無差別全日本大会で優勝した加藤選手は、準決勝で相手が何度も単発の金的攻撃を繰り出し、それに対し、審判が反則を採らないことに対して不満を漏らしていた。「体力指数差により、金的攻撃がOKの場合も、単発で全力で金的を攻撃するんじゃなくて、コンビネーションの一環として使うことだけがルール上、許されているはず。相手は単発で金的を攻撃しているのに、審判は誰も反則を採らない」といった内容だった。確かに、パンフレット記載のルール第6章第35条第4項をみれば、金的攻撃がOKの場合も「金的蹴りのみの攻撃や、決め技としての使用は認められない」とある。この記述は加藤の言う通り「金的蹴りを単発で出すことは、金的蹴りのみの攻撃だから反則」と解釈できるわけだし、この記述に従えば「金的攻撃をもらった側が、偽装にせよ、ダウンし、もがき苦しめば、決め技として使ったこととなり、金的攻撃は反則」となってしまう。このルールは〝金的に注意を引きつけて、他の技を当てられるようにすれば、小柄なテクニシャンがパワーファイターに対抗できるようになるはずだ。でも、金的を思い切り攻撃したら危険だし、互いが金的ばかり狙ったら美しくない競技になってしまうから、金的を強打・連打するのは禁止にしよう〟といった目算に基づくものかと思うが、その理想通りの展開に試合を導くには、あまりにも不明瞭で、誤解釈を生みやすい。そもそも、このルールの存在自体が、観衆はもちろん、選手、さらには審判団にも認識されていないのではないか? 現状でいえば、このルールの整備と、その整備したルールを審判・選手に認識させることが急務だが、個人的な意見でいえば、かねてから申し上げている通り、スポーツアコード入りする競技を目指すならば〝ルールのシンプリシティ〟〝安全なイメージ〟の2点を追求するうえで、金的攻撃は全面的に反則とするのが妥当かと思う。

4.審判講習会の開催を求む

 主審をしていて、特に戸惑うのは「主審としての動作をしなくてはいけないことが複数、連続して起こったときに、どれを優先すべきなのか?」ということである。

例として挙げると、

「立ち技の攻防でダウン気味に転倒し、(ダウンとみなすか、みなさないか副審の旗の集計が完了するまでの間に)そのままグラウンドの攻防に移行した」場合、副審の旗の集計動作と、グラウンド移行時の主審所定動作の優先順位はどうなるのか? さらに「グラウンドに移行後、すぐに極めの動作が行われ、副審の旗が何本か上がったけれども、それを数える間もなく、関節技が極まりかけていて目が離せない」といった場合、どの動作を優先すべきなのか?

といったことだ。

こういった状況も含めて

など、簡単に主審の正しい動作をビデオ撮影し、You-Tube などで視聴できるようにできないだろうか? 現状の複雑なルールだと、あらたに審判ライセンスを取得した人間が、こういったビデオ教材や講習会などを通じての学習機会を与えられぬまま、ルールブックを渡されるのみで「あとは観て覚えて」で、審判を任せられるのは、あまりにも厳しいということだ。古くから審判をしている者は、大会を重ねるごとに少しずつルールが増えていったからこそ、少しずつその対応をしていけたのであって、同じ人物が今、突然審判ライセンスを交付されたならば、やはり現場で戸惑うかと思う。もちろん、別項目で論じた通り、旗のカウントなどの作業が本部席に委ねられ、主審の作業が減ることが、もっとも求める改革ではあるのだが、現行のシステムが続くのであれば、このようなケアをしてほしい。

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