ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

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column#58

空道ルールへの提言 8

2015無差別を経て、連盟に意見を送付した内容のうち、公にしてよいと思われる内容を、WEB掲載用に編集したうえで、以下記す。

■Aコート40試合の佐々木一則vs押木英慶で、佐々木の飛びつき腕十字に反則が与えられ、Aコート42試合の渡部秀一vs松永卓也で、渡部の〝立った状態で襟を取り、寝技に引き込んで極める絞め〟が反則か審議された(結局は反則としなかった?)が、基準を明確にすべきである。

そもそも、ここ数年の試合で、飛びつき十字を仕掛けた者はたくさんいた。2015体力別―240決勝でも、巻礼史が川下義人に仕掛けている。また、渡部秀一は今回と同じ手順で何回も一本を奪っている。これらにかんしては、審議が求められず、合法とされてきたにも拘わらず、なぜ、今回になって審議が行われたのか?

私見では、飛びつき十字も、引き込みながらの襟絞めも、どちらも反則にすべきではないと考える。それは…

…といった見解による。

なお、飛びつき十字や、引き込んでの絞め技等を、仕掛けられた側が立って堪えた場合は〝待て〟を掛け、試合開始姿勢で試合を再開させるのが妥当である。実戦を考えれば、相手の頭部を地面に叩きつけることが可能な体勢であるにも関わらず、安全面配慮のため、その行為が反則とされているのだから、そのような措置を採らなければ、飛びつき・引き込み系の技が〝掛け得〟になってしまう。後述するように「相手を頭部から落として大きなダメージを与えられる高さに持ち上げた場合は、待てを掛け、持ち上げた側に効果ポイントを与える」が相応しいほどである。

※連盟に意見送付後の追記……1月10日の会議で、松原隆一郎師範より「柔道で、立ち姿勢からの腋固めが反則で、腕返し等が反則でないのは、〝参った〟をする間を与えず大きな負傷に至らしめるもののみを反則としているから」という発言があった。こちらの方が表現としてスマートで分かりやすいな、と感服した。

■キメ打撃で効果ポイントを取るか取らないか、審判によって判断にバラつきが感じられるので、基準を明確に規定し、共通認識を持たせるようにして欲しい。

以下のような状況で、審判の見解にバラつきがあった。。

■「場外逃避は、組み技ではOKで、打撃の攻防では反則」というルールはどういう論理に基づくものなのか? それが実戦性に基づくものでないならば、このルールは撤廃すべきである。

「現実の闘いに即したルールを制定した結果、打撃が組み技より有効なことが証明される」のはよいが「打撃が組み技より有利になるようにルールを定める」のは、あってはならないことと考えている。今回の野村幸汰vs清水亮汰で、組まれた清水が腰を引いて後ろずさって場外へ逃げる姿、過去、打撃系の選手が、塩田さやかや大谷美結に対し、場外際で闘い、組まれたらすぐに場外に出る戦略を取る様は、一般的視点でみれば「あんなのズルい。不公平だ」「あの戦法アリでは、組み技系の選手は参戦しても勝つことなど不可能ではないか!」と思われるのが当然であり、長い目でみれば、競技普及を停滞させ、運営(経営)安定のためにはマイナス要因となる。

■副審は、選手が近づいてきたときにはイスを持って移動するべきではないか?

「副審は、闘っている選手が近づいてきたときには、椅子を手に持って移動する」といった所作規定を設けるべきではないか? 今回、椅子を置いたまま、副審が去った結果、選手が副審の椅子に激突し、怪我をしかねない状況に陥っているケースを目にした。「副審は脚を広げて座らない」といったマナー同様、周知徹底して欲しい。

■女性の試合にかんして、年齢・身長・体重がパンフレット等に掲載されていないが、載せるべきである。

スポーツの土俵に上がるかぎり、パフォーマンスをはかるうえでの重要なファクターであるこれらのデータが、医師やマスコミに知らされないことはあるべきではない。また、地区レベルの大会なら〝裾野を広げるために出場しやすくしよう〝という配慮のもと、年齢や体重を伏せることがあってもよいと思うが、全日本選手権、国際大会にかんしては、年齢・身長・体重が公表されて胸を張れないような選手が出るべき舞台ではない。そもそも「女の子だから秘密にしてあげよう」というような扱い方より、男子とまったく同じ扱いをすることの方が、スポーツ競技におけるジェンダー問題上、相応しいのではないか。五輪競技で、年齢や体重が公表されない女子競技など、ない。

■土曜開催の大会で、計量が前日の場合、リミットを夜にして欲しい。

全日本選手権、世界選手権が土曜や祝日開催の場合、前日計量は平日に行われることとなる。この平日計量の場合、地方から上京する者の負担を減らすためにも、社会人が仕事を休まずに〝社会体育〟を実践するためにも、また、過度な水抜きをして体重をリカバリーする方法を選手にとらせないためにも、計量の時間を18:00~20:00といった時間帯に後ろ倒しできないだろうか(今回18:00がリミットであった)。運営側がこのような努力を重ね、少しでも、選手が競技参加しやすい状況をつくってこそ、競技が普及し、運営が安定する。

■「日の丸パッチは、国際大会以外ではつけたままにしてはいけない」というルールを設けては?

空道では、通常の稽古において、あるいは地区大会等で、世界選手権に出場した本人のみならず、世界選手権出場者から譲り受けた者が、日の丸パッチつきの道着を着ていることがしばしばある。柔道でも、ラグビーでも、日の丸入りの道着や桜のエンブレムの入ったジャージは、国際大会に出たときにしか着ないことで、その価値を高めている。ファンがレプリカを着ることはあっても〝ホンモノ〟の日本代表ウェアを他人に貸与することなど、それらの競技ではありえないし、それ以前に、畏れ多くて誰も着ないはずだ。「日の丸パッチは、国際大会以外ではつけたままにしてはいけない」というルールを設け、あの道着を着ることへの憧れを高めて欲しい。

■「帯がほどけるのを防止するために帯止めを使用してよい」が妥当では?

試合時、帯止めをすることが義務付けられたが、一般的な帯の結び方でなく、帯を背中で交差させず、かつ、ひと巻き目と、ふた巻き目の間から端を出す結び方をするように指導すれば、帯止めを使用しなくとも、試合中に帯がほどける確率は、かなり下げられるのではないだろうか。

競技の普及のためには、競技をするために必要な用具を少しでも少なくして、競技に取り組むために必要となる費用を少しでも少なくすることが肝要。そういったシンプリシティー追求の原則のため、ある程度の期間の帯止めの運用を経て、帯止めの使用義務について、再検討してもよいのではないか。「試合中、帯がほどけた場合は、反則(減点)1とする。帯がほどけるのを防止するために帯止めを使用してもよい」くらいにするのが妥当と思われる。

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