ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

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column#59

空道の用具について思うこと

連盟より、用具の性能改善のためのアンケート調査があり、それに回答した。ウェブ公開に適した内容にあらため、以下に。

NHG空について

 素手で顔面を殴るのが危険すぎるから、〝闘い〟を競技化するとき、打たれる頭部に緩衝材(ヘッドガード)をつける方法と、打つ拳に緩衝材(グローブ)をつける方法がある。この2つの方法の比較は、脳が受けるダメージに関して、すでに多々、論じられているが、それとは別の視点で、2つ、あまり言われていないことを。

 1つ。打たれる場所(顔面)に緩衝材をつけるならば、拳による攻撃も、足による攻撃も、肘による攻撃も、膝による攻撃も、同率でその威力を弱める。結果、粗々しいが、現実に近い殴り合い中心の攻防が展開される。一方、攻撃部位のうち拳だけに緩衝材を着用した場合、拳の攻撃力は弱め、足・肘・膝の攻撃力は弱めないことなり、足・肘・膝の攻撃が活性化し、美しいが、現実からは遠ざかった攻防が展開される。

 もう1つ。ボクシングやキックボクシングのようなクッションのある、指の出ていないグローブを着用する競技ならともかく、薄く指の出たグローブ(いわゆるオープンフィンガーグローブ)を着用するMMAにおいては、どうしても、一定の率で、サミングやポークアイが引き起こす網膜裂孔→剥離、拳頭の硬さが伝わる度合いの高さによる鼻骨・眼の周囲(眼窩底や眼窩内壁)の骨折が生じる。総合格闘技でありながら、これらの後遺症の残るケガをほぼシャットアウトしうる、顔面防具着用ルールは、アマチュア競技には適している。また、社会人が行うアマチュア競技において、頭突き・肘による顔面攻撃ありで普及しうるルールは、顔面防具着用ルール以外にはないと思われる。

……これらのことからも、NHG着用の空道ルールは、実戦性と安全性を兼ね備え、かつ、オリジナリティーの高い、素晴らしいルールと考えられる。

 ちなみに、NHG空の使用説明書に「市販の洗剤はプラスチック部分を劣化させるから、使わず、専用のクリーナーを使うこと」と書いてあるが、その論拠を明示して欲しい。市販の洗剤のうち、酸性、アルカリ性のものはプラスチックの劣化を早めるだろうが、果たして、中性洗剤が悪影響を及ぼすのであろうか? 中性洗剤であれば、使用してもよいのではないか? 
 なお、NHGを床や棚に置く際は、必ず、プラスチック部分を天(宙)に向けて置き、接触によってプラスチック部分が傷つかないようにしよう。稽古場への運搬の際は、プラスチック部分に当て布を巻くように。

道着について

 青道着は白道着の約1.5倍の重量がある(4号で青1.5㎏、 白1.00㎏)。試合で対戦する二者が使用するために道着をカラー化したのであれば、公平を期すことが必須であり、ならば、重量に差があってはならぬのではないか。
 また、以前の道着と比べ、現在の道着は、ズボンの素材が硬く、股が開きにくく、上段が蹴りにくくなったように感じる。以前の道着はポリエステルとコットンの混紡であったが、現在はコットン100%であることが、その原因だろうか? もし、耐久性(破れにくさ)を上げるためにコットン100%にしたのであれば、「上衣はコットン100%のまま、ズボンだけ、混紡にして、上衣とズボンのバラ売りを行う」ことが出来ないか? こうすれば〝上衣1に対し、ズボン2を消費する〟〝上衣は4号、ズボンは5号を購入する〟といったことが可能となる。セットで購入するより、価格が割高となっても不満はないだろう。また、バラ売りには白帯をつけないことで、買う側にはムダがなく、売る側には経費削減が可能となるのではないか。
 それと「武道の道着は、白が基本。いつ死んでもいいという覚悟の象徴として、白装束に身を包むのであり、青道着はあくまで試合用だから、稽古では着るな」という主義の師範もいらっしゃるようだが、それでは「着られる機会が極端に少ない青道着クンがかわいそう」という気もする。…というか「青道着を買わせておいてそれはない」というか。〝青道着は国際大会のみで着用される=国際大会に出場するレベルの選手には道着が支給される〟くらいの競技なら「総本山たる講○館での稽古には青道着で参加するな」と言うのも分かるが、地区大会に出る選手に自費で青道着を買わせる競技なら、稽古でも自由に青道着を着させるべきではないか。もともと、道着は〝野良着〟だったわけで、色や形の形式に捉われるようになっていったのは明治以降の武道の軍事利用の流れを汲んでのことのような気もするし。

空道フィストガードについて

 MMA競技で用いる皮やビニール製のオープンフィンガーグローブと比べ、より軽量で素手に近く、使用の度に洗濯できるため清潔で、しかも安価な点、素晴らしいと思う。〝隣の芝は青くみえる〟せいか、あるいはファッションなのか、稽古においてMMAやキックボクシング等の用具を好んで使う人もいるが、私はむしろ、布製の拳サポや脛サポーターの方が、優れた製品だと考えている。

ジュニア競技のアームプロテクターについて

〝競技の普及のためには、競技をするために必要な用具を少なくして、競技に取り組むために必要となる費用を減らすことが肝要〟という観点から「アームプロテクター着用を義務とする」のではなく「アームプロテクターを使用してよい」にしてはどうか? 前腕部に後遺症の残るような負傷を負う可能性は低いと考えるからである。

空道レッグサポーターについて

 白色にすべきである。なぜ、黒色になったのか、その理由を知りたい(アームプロテクターやボディプロテクターも同様)。黒色の方がカッコいいとか、汚れが目立たないという理由であれば、むしろ、あるべきことと逆と考える。医療に携わる者の身につけるものなぜ白いかといえば、汚れを目立つようにするためである。コンタクトスポーツにおいても、服装や用具を、感染症の媒介となる血液の付着がすぐに分かり、衛生が保たれるようにすべきではないか。
 すでにフィストガードの項で言及しているが、素材が皮やビニールでなく、布であるため、軽量で洗濯が可能な点は、とてもよい。稽古において、汗を吸収せず道場内に散らし、洗濯もできない皮やビニール製のスネサポ(ムエタイやMMAの練習用具)を使用している者もいるが、それらより、清潔である。

マウスガード(マウスピース)について

 NHG着用の競技では、マウスガードを着用しなくとも、歯が折れたり、脱臼したり、唇に刺さったりする率は少ないのではないか? また、マウスガードの着用によって、脳のダメージが軽減されるというような説もデータによる立証は成されていないのではないか? だとすれば、前述の〝競技の普及のためには、競技をするために必要な用具を少なくして、競技に取り組むために必要となる費用を減らすことが肝要〟という観点からして、マウスガードの着用も義務化せず、任意でよいのではないか?

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