なぜ、攻撃の種類は少ないのに、防御は多い?
水道橋同好会で、打撃オフェンスの基本として行うのは、パンチはジャブとワンツーとワンツー→左フックだけ。蹴りは、左足が前蹴りとローとミドルで、右足はローだけ(オーソドックス構えの選手の場合)。
なんで、右フックとか、右のミドルとかないの? と、不思議に思った人もいるかもしれない。これは、前回のコラムで述べたところの「主将自身の経験から得た確信」によって、そうしたものだ。
オフェンスに関しては、相手をびっくりさせるような技、後ろ回し蹴りやバックブローのような回転技、セオリーとは異なる軌道でのパンチ、フェイントからの攻撃、ジャンプしてのヒザ・・・といったものは、初心者が仕掛けても成功させやすい技ではある。
でも、これらの技を最初に覚えて、それに頼るようになってしまうと、その後、伸びしろがないんだよな。やっぱり、これらの技は枝葉の部分で、最初に幹の部分を太く真っ直ぐに育てておくことが大事。
そこで、幹とすべき技を徹底的に絞った。
パンチはジャブと右ストレートと左フックだけで、正確な距離・フォーム・タイミングで相手を制することが出来るようにする。蹴りは利き足(右足)に頼りたくなるところを、前足(左足)でミドルとローと前蹴りが蹴れるよう矯正する。最初にこれらのフォームをきちっとできるようにしておけば、後で葉っぱをつけることは容易だ。
一方、ディフェンスに関しては、初心者の段階で、右フックに対しても、右ミドルに対しても、ハイキックに対しても、前蹴りに対しても対応できるよう、多様な攻撃に対する反撃法を基本段階で覚えさせている。
なぜか?
ある初心者が将来を見据えてキレイな技に限定してオフェンスを行ったところで、相手は力任せの右フックや右ミドルを振って攻めてくるのが現実だからだ。
結果として、オフェンスはごくシンプルな技で行い、ディフェンスはさまざまな攻撃に対応できるようにしておく・・・それが水道橋同好会の基本の型のスタイルとなっている。